はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

偽薬のミステリー パトリックルモワンヌ著 小野克彦、山田浩之訳

池袋西武のリブロで購入。
鍼灸を含め、代替医療と呼ばれる各療法は科学的にその効果を証明する研究自体が(最近増えてきているけれども)まだまだ少ないので(高度な臨床試験には膨大なお金がかかるので)、「その効果は科学的に証明されていない。よってプラセーボである」という言説で頭ごなしに否定する人も少なくないですね。医学=西洋医学という従来の土俵では臨床試験プロトコル自体が主に薬剤の効果を計るのに適しているように作成されており(真薬と偽薬の比較など)、他の療法の効果を計るのには向いていないということも事実です。
本物の鍼と偽物の鍼を比較するのは、実際非常に難しいのです。
プラセーボとは何か?どんな現象を指すのか?ということは今までタブー視されあまり語られてこなかったようですが、このところいくつか著作が出版されるようになりました。この本もその中の1冊。
医学の世界では、プラセーボ(偽薬効果)は極力排除すべきものとされてきたのは、もう今は昔の感があるようです。プラセーボをもっと積極的にかつ戦略的に活用していこうという潮流がある一方、昨今の代替医療ブームにおいて患者が適切な医療を受ける権利を侵害されないよう慎重であるべきだという警鐘を鳴らすことも忘れてはいない、そんなスタンスでこの本は書かれています。
プラセーボを自覚的に活用していこうとする時、「私がやっている治療はプラセーボなどではないっ」という頑なな姿勢も「プラセーボでもなんでも効けばいいじゃない」といういい加減な姿勢も慎まなければならないということになりますね。

偽薬のミステリー

偽薬のミステリー