はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

 News from Paradise よしもとばなな+パトリス・ジュリアン 著 

大宮駅、エキュート内リブロで購入(変形版でカバーがかけにくかったのに丁寧にカバーをかけて下さった店員さん、ありがとうございました。)。
昨年夏、父の手術のため何度か実家と東京を行ったり来たりしたのだけれど、その何回目かに車内で読むのにちょうど良い本はないかと探していて、目に留まったのがこの本。
ご存知、作家のよしもとばななさんとライフスタイルプロデューサーのパトリス・ジュリアンさんのリレーエッセイ。
ぱらぱらとめくって飛び込んできたのが次の文章です。

癒しもそう。癒しは、痛くて、えぐられて、血が出て、そしてじわじわと再生する厳しいプロセスのことです。決して温泉にゆったりつかって足をのばすようなものではありません。そのことを私は、伝え続けたいのです。(ばななさんの文章より)

胸に突き刺さりました。
私は「癒し」という言葉が簡単に使われ、消耗されていくことに違和感を感じていたし、また「癒されたい」と人がつぶやく時、「癒し」とはそう安易に求めてよいものなのだろうか?と疑問も感じていました。そして、私の仕事は「癒し」を求める人の要求に答えることでもあります。
この文章が、いつまでも、いつまでも心に残っていました。
なぜか?今にして思えば、当時リラクゼーションのお店に勤務していて「ひと時、日常のストレスから解放されて寛いでいただく」というスタンスに自分のやりたいこととのズレを感じていたからかも知れません。
「癒しとは、厳しいものである」という言葉が、徐々に臨床の現場でリアルに響くようになってきています。本当の意味での「癒し」を、私が私らしさを失わずに実践するにはどうしたらよいかを問い続けています。


News from Paradise―プライベートフォト&エッセイ

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