はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.8「日本腹診の源流〜これを読まずして腹診は語れない!」

一昨日の土曜日、ちょっとだけ早く治療院を閉めて(扉には『往診中』の札を下げ)、和方鍼灸友の会主催の講習会に行ってきました。
六然社から出ている「日本腹診の源流」の編者である長野仁先生直々の解説です。
この本、出たばっかりの時に書店でぱらぱらとめくって見て、無言で棚に返した記憶があります。江戸期に書かれた本の写真本なんですよ!活字じゃないの。もちろん口語訳もなし。私は、難経集注だって、遅々として読み進まないでいるというレベル。
「む、無理だ・・・」と購入を断念したのでした。
「きっと、この講義を聞かなければ、この本を一生読めない・・・」そう感じて参加したわけです。
具体的な内容に入る前に、まずは古典の正しい読み方についてから。思い切り要約すると「時間とお金をかけて学べ!」ということ。10万超えの本を買ってしまえば、私も元をとる気になって勉強するのかなあ。代々木駅前の某書店、毎日仰ぎ見ているけれど、未だ入る勇気なし・・・
さてさてこの本は、打鍼術の御薗意斎から直々にその奥義を習った森仲和の孫である森中虚が著した「意仲幻奥」と「陰虚本病」の復刻本とその解説から成り立っています。
著者のプロフィールと時代背景の説明から入り、その辺を知っていないと、正しく理解できないとのことでした。内容の解説自体はもちろん全部終わるわけはなくて最初の数ページでしたが、これから自分で読み進めていくのには心強い後押しになったと感じました。

印象に残ったのは、「昔の鍼灸師は人の生死に深く関わっていたので、臨床にあたり深い考えがあり、宇宙の原理に至るような哲学がそこにあった」ということ。「現在の鍼灸師は、人が生まれ死ぬような場面に直面しなくなったため、観念的になりすぎている」とも。
本の解説というよりも、鍼灸術とは、治療をするとはそもそもどういうことか。どんな資格(学術、技術、体術)が求められるのかを考えさせられるような内容で、講義終了後には、友人と一緒に帰ったのですが感想の言葉がうまく出てこなかったです。
※その夜、講義の続きを受けている夢を見たのでした。