はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.32 福岡は熱かった!

一昨日〜昨日、福岡に行ってきました。
まあ、毎度のことですが地方で学会や勉強会があるときの参加動機の多くは「美味しいもの(&お酒)が食べられそうだ」という直感です。「遊びで行くんじゃない、勉強、勉強」という言い訳もできますし(^_^;)。

というわけで未踏の地である福岡まで、寄金丈嗣先生による「鍼灸治療院繁栄の秘訣」 ※ 既に繁栄してる方お断り! と題された、講演&散鍼と巨鍼の実技公開に参加してきたのでした。
六然社の新刊「鍼灸治療院繁栄の秘訣」の発行記念講演でもあったのですが、今回の講演の目玉は、やはり「鍼」と名のつく手法の両極であるともいえる、散鍼と巨鍼(鍼灸師なら両方出来ないとまずいでしょ?だそうです。)の実技公開です。
この二つの手法を一人で自在にこなす先生を、寡聞にして私は他に知りません。散鍼と巨鍼、道具も手法もまったく異なるのですが、私は根っこの基本は一緒だと思っています。
それは指先を自在に操るための身体操作が出来ないと不可能であるという点においてです。散鍼は見かけだけのバッタモン散鍼をすることは可能ですが、それでは気持ち良くもないし、効かないでしょう。巨鍼はまず刺入が出来ないです。
私は普段の臨床では接触鍼という刺さない手法をベースに治療していますが、スパイシーな表現をされる寄金先生は「刺さないんじゃなくて刺せないんじゃないの?」と挑発的に仰るので、「刺せないんじゃありません、刺さないんです。」と言えるようになりたいという思いがあり、わざわざ福岡まで足を運んだ次第です。

前半はタイトルこそよくある経営学講座のようですが、中身はさにあらず。鍼灸師という仕事をする上での覚悟、必要条件(人柄やセンスなど)を、私が学生だったらマジで仕事を考え直すだろう厳しさ(でもそれが掛け値なしの現実でもあるのですが)で話されました。
後半の実技では会場から希望者を募り(女性が多かったですね。女性のほうが度胸が良いのです)、巨鍼の刺鍼の実際と参加者全員の前腕に、さながら将棋の名人のように円になった参加者に次々に散鍼を体感してもらおうという構成でした。
指圧の増永静人先生は、ヨーロッパ、パリでの講習会の際に、参加者全員(90名)の腹診をするということをやって、50名ほど過ぎたあたりでこれ以上は無理だと感じたと回想録で書かれています。70名へ散鍼をして(しかも巨鍼という真逆の手法の後に)、寄金先生もかなりお疲れになったのではないでしょうか。
とにかく、そんな先生の熱意と参加者の真剣さが会場に溢れる、とても充実した講習でした。

講習の後には懇親会へ。まず福岡の海の幸がこれでもかと運ばれてきてびっくり!透明に光動くイカの活け作りなんて東京ではまずいただけません。また、恐れ多くもゴルゴ先生のお隣に座らせていただきました。緊張していた私に先生の方から優しく、風貌に似合わない(先生、スミマセン)本当に優しいお声で話しかけてくださり、開業における工夫など色々と教えてくださって感激しました。

翌日は当日スタッフとして参加されていた地元福岡のJ先生が福岡市内を案内してくださり、「ちゃんぽんが食べたい」という私に「なんでちゃんぽん?」と首を傾げながらも地元の人じゃないと入らないような商店街の食堂に連れて行ってくれ食欲があまりなさそうなのに付き合ってくださいました。
2日間の滞在でしたが私の脳みそには、「福岡=いい街(美味しいものがたくさん&みんな親切)」とインプットされました!
帰りの飛行機の中で「私、勉強しに行ったんだよなあ」と思わず自問。こんなんじゃいけない気もしなくもないのですが、「楽しきことはよきことなり」ということにしておこうと思います。


     
   櫛田神社        ちゃんぽん          山笠