はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

 vol.36 東京漢方鍼医会 2月例会

今月は、午後からの橋上先生の発表に関連し、肺と心の生理について復習するところからスタートです。
というか、午後の実技も主訴は咳でしたので、一日を通じて一貫性のある内容となりました。
午前 「肺と心の生理について」 吉田先生
まず、入門講座で受けた講義の内容をざっとおさらいして、肺と心の臓の働きをいかにイメージするか?という話に。
「肺は気を主どる」にからみ、気というのは米を蒸すときに立ち上がる水蒸気や、春先に地面からもやもやと立ち上がる陽炎や、風が湖水をざわざわと撫ぜる様子など、目には見えない働きを「気」ととらえた。
それらの現象を「気」ととらえたのであって、「気」という概念がそういう現象を起こすのではないと。
「肺の水道作用」にからんでは、現在は水道の蛇口を捻れば水が出るけれど、昔は井戸水を使っていたということを、停滞した水の動きをイメージする際に想起するとよいとのこと。
その時代の生活や環境に即したイメージを持つことが大事ということです。
心については割愛します。

午後 「喘息について」 橋上先生
現代医学的治療から、使用されている代表薬、鍼灸治療における喘息のとらえ方、証、治療、そして症例まで、労作を発表されました。
今回の症例では、左肩の凝りを筋の引きつれ、脈状、左下腹部の圧痛、冷え、軟便から肝虚寒証とし、その後は症状や所見の変化から腎虚、脾虚と証を変え治療を継続し、症状は軽減してきているとのことでした。
先生方からは、以下のような意見が出されました。
薬の影響を考えて治療する必要性。脈を診るときも、その影響を加味し判断する事を忘れない。薬で肝や脾に負担がかかっている可能性も考えること。
胸鎖乳突筋の緊張を緩めてあげると気管が拡張して症状が軽減する。

実技 
モデル患者:吉田先生 治療:平地→中山先生
主訴:咳
現病歴:4,5日前から出現。痰がからむ。痰は切れる。喉がひりひり。
飲食:食欲あり、食べられる。
二便:特に問題なし
睡眠:一週間ぐらい睡眠不足。昨夜は特に。
治療:
仰臥位(平地):右商丘、右経渠、右徐s兌へ衛気の補法
伏臥位(中山先生):肺兪の深部の硬結を緩める→頚部・肩上部へ散鍼→下腿で背部の硬さを緩める→腰へ刺鍼
反省点:衛気の補法をやり過ぎないようにと考えるあまり、補える前に鍼を外してしまうことが何度かあった。経渠の取穴では押手が重くなりすぎ、脈の変化が好転しにくかった。
失敗は原因を考え、改善策を具体化し、練習です。精進!精進!