はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

 vol.38 漢方鍼医会本部会 3月例会

午前(訳あって欠席。一応演題だけ記載しておきます)
「脉状診について」 福島賢治先生
「腹部疾患の治療-2」 二木清文先生

午後 
取穴「膀胱経」 指導:二木清文先生
委中、委陽の取穴する際のポジショニング要注意。膝を屈曲させて穴をしっかり出させること。
肺虚陽虚の患者さんやパーキンソンの患者さんに対し、膀胱経の要穴を用いると効果的とのこと。
 
実技 モデル患者1:鈴木先生 治療者:本治 田村先生、高柳先生 他
指導 福島賢治先生 新井康弘先生
主訴:左肩の重だるい痛み、目がしょぼしょぼする、鼻喉が乾く
治療:経渠、委陽
腹部:上腹部が詰まったような張り。下復部に力ない。臍周囲は少し張っている。左側腹部はややこそげた印象。さっと軽く撫ぜても引っかかりあり。
病症から脈は浮いているかと予想したのだけれど、意外と沈降性の脈を打っていた。中脘穴に鍼をしてから再度脈を診る。すると浮いてきて病症と合致。脈が分かりにくいときは中脘や関元に鍼をすると良いとのこと(福島先生より)。今回は69難に従い、肺経から治療。肺気を補う意味で金穴を選択。田村先生の鍼で脈はいい方向へ変化したが、お腹にふわっと汗が一瞬出たのがあまりよくないとのこと。再度高柳先生が経渠へ衛気を補う。脈は程よく沈み、丸くいい印象。田村先生の刺し手が少し重かったのではないか?と福島先生。自覚的には足の冷えが出てきたとのこと。足の陽経を用いようということで、委陽を選択。私が委陽に鍼をしたが、ポジショニングに無理があり、あまりよくない。立ち位置を変えたところ、左尺中も沈んできて自覚的にも良いとのこと。今回は腎虚証の見立てで腎経は使わない展開に。


モデル患者2:細川先生 治療:鈴木先生
主訴:左下腹部の痛み、下痢と便秘を繰り返す
治療:太白、大陵
時間が15分ぐらいしかなくて、見立てをするのが精一杯。最後に、ご指導された福島先生の感想を聞きながら、鈴木先生が器用に治療。大陵穴が良かったと細川先生の感想でした。

今回は実技の流れを追うような感じで書いてみましたが、症状が起きるまでの身体に起こった変化を、気血津液と五臓の病理から説明できないと本当はちゃんと分かったことにはならないのだよなーと感じます。
難しいのは、分かっていないのに思い込みで分かったかのようなストーリーをでっち上げないこと。分からない曖昧な要素はそのままに、いくつかの可能性を視野に入れてファーストチョイスからセカンドチョイスへ進むぐらいの慎重さが初学者には必要かもしれません。