『自分を生かす古武術の心得』多田容子著
身体技法の指南書というのは、身体を使える人が書いていることがほとんどで、かつて身体が動かなかった人も当時の記憶は薄れてしまっていたり現在の関心事ではなくなったりして、「動けない人がいかに動けるようになるか?」という初歩の初歩段階における掘り下げは多くない。
この本の著者は、本業は作家さんである。
身体技法の専門家というわけではない。
現在では手裏剣の講座で指導なさったりもされているようなので、どんどんと身体の使い方は進歩されているのかもしれない。
しかし、本書ではご自身が手裏剣を習い始めた当時のまだ身体が使いきれていない段階から上達していく中で得られた知見を「どこがどれぐらいダメでどう変化していったのか」普通ならすっとばしてしまうような細かいところまで省略することなくルポルタージュされているので、読んでいて「?」が頭の中に浮かぶことが少ない。「ほう、ほう。うん、うん。」とうなずきながら読み進めることができるのである。
また、プロの作家さんならではの描写力で綴られているせいだろう。他書には見られない分かりやすさがある。
わたしがぐっときたのは、ふだんやったことのない身体の使い方をするとか、使っていない部分を使うといった際の「怖れ」の感情についての記述である。
こういう文章はあまり目にしたことがない。
すごく共感してしまった。
- 作者: 多田容子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02/15
- メディア: 新書
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この本を読もうと思ったのは↓こちらのブログを読んで面白そうだなと感じたからです。
よいきっかけをいただきました。ありがとうございました。
「なにを読んでも なにを見て聞いても フェルデンクライス」より
『自分を生かす古武術の心得』(1/3)
http://d.hatena.ne.jp/geko_sishibuhuo/20080414/p1