はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.5「漢方鍼医会 臨床家養成講座 6月例会」

午前 

  • 第1席「往診治療の準備と実際」神岡孝弘先生

神岡先生はまだ30歳(男性)。若いのである。でも往診治療専門で、もちろん漢方鍼治療のみでやっておられる。立派である。私も、往診治療をしているので参考になることが色々あった。

頭部疾患として、「脱毛、頭痛、顔面神経麻痺」の現代医学的要約と古典的な病態把握と治療についての講義。「どんな患者さんが多いか、漏らしてはいけない問診事項、予後」など、実際の臨床現場での情報を数多く盛り込んでの内容でした。

午後 

  • 取穴実技「脾経の要穴」指導 二木清文先生

赤白肉の境をまず確認。太白を正しく取る工夫、陰陵泉の取り方など。

  • 小里方式による臨床実技 指導 新井康弘先生

※主訴以外の症状、細かな問診事項、所見などは省略

    • モデル患者

   1.細川先生
     主訴:腰痛
     脈診:総按―沈、単按―右寸口が沈
     腹診:肺の見所がこそげている。肺・脾の見所にしぶり。
     証:腎虚陽虚証、気虚証
     治療穴:復溜、解谿、支正
   
   2.鈴木先生
     主訴:頚肩の(詰まったような)痛み、左上肢の痛み
     脈診:総按―やや沈、やや数、
        単按―右寸口が沈、右関上が弦、左関上が押し切れない脈
     腹診:汗、べたつきあり。肝の見所深部にやや実。肺・脾の見所に冷え。
     証:肺虚肝実証
     治療穴:復溜、陽池、養老

反省
実技の鈴木先生の問診、治療を担当した(というかする予定だった)。
しかし、証が肺虚肝実証ということ、経と穴の軽擦での「右寸口と関上が揃ってくる感じ」が分からなかったことと、陰実証の治療に(私が)慣れていないことから、新井先生の指示で、習熟している滋賀漢方鍼医会の高柳先生に実際の治療は交代していただくこととなった。その後、治療を進めるごとに脈状が良くなっていく変化は驚くほどで、肝から胆、胆から小腸への熱の移動がよく分かった。
今朝、陰実証の二木先生のレジュメを読み返す。陰実証との鑑別のポイントとなる症状、脈、腹部所見などを、もう一度整理する。最初は、分かりやすい事項に見所・聞き所を限定して、陰実証の症例を見落とさない工夫をしていきたい。