はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.20 漢方鍼医会本部会 9月例会

午前:外来講師講演が午後に組まれているため、いつもと違って今回は実技から。
まずは、腹部に衛気と営気の補法の練習。脈と腹部所見、肩上部の緩み、耳前の拍動がそれぞれの手法に適った変化が出ているかを確認しながら行いました。
続いて小里方式でモデル患者をたてての臨床実技。
モデル患者その1 細川先生 
主訴:便秘、右腰と膝裏の歩行時の違和感 治療者:鈴木先生
その他の症状:声枯れ、鼻がつまり熱っぽい。
腹証:肺と腎の境に緊張。右側復に縮み。臍の周囲に力がない。
脈証:全体的にはやや浮、緊。右寸口はやや沈。右関上は浮、緊。左関上は浮、緊。左尺中はやや浮。←これは私の診た脈の印象。
病理:夏の間に暴飲暴食をしたせいで脾・胃の機能が低下し、(水を収めるべき)陰気が虚してしまった。そのため、津液が収まるべきところに収まりきれずに体表近くに停滞している。陰気の虚が虚熱を生じ、熱症状(便秘、声枯れ、鼻づまり)を呈していると推察される。
証:脾の虚、陰虚  治療側:右
治療穴:商丘、間使、解谿(腎の浮脈も沈んだ)


モデル患者その2 鈴木先生 主訴:睡眠不足でボーっとしている、胸から上ののぼせ
残り時間が、あと10分というところでのモデル患者交代でしたので、問診、腹診、脈診をし、腎、脾、肺と治療経が候補に上がりましたが、触擦で脈の改善、肩上部の緩みがみられたのは脾を軽擦した時でした。・・・とそこで時間切れ。続きは来月へ持ち越しということに。

午後:外来講師講演「三焦論」曾我部紀之先生
三焦を論ずる前に陰陽論から、非常に噛み砕いてイメージが湧きやすいように比喩を交えながらご説明くださいました。自然界の陰と陽の交流を、人体に置き換えると、どういうことか、から君火と相火そして三焦へと話は行きつ戻りつしながら、立体的に展開していきます。
三焦を臨床で考えながら治療する段階にまだ達していない状態ですが、詳細なレジュメを用意していただいたので、ゆっくり復習しようと思います。

取穴実技「肝経の要穴」
今回のポイントは、井穴を中央寄りに取穴すること。中封と商丘との位置関係。蠡溝、中都の簡便な取り方。曲泉と陰谷の位置関係。などでありました。

自分ひとりでは限られた見方になってしまうのだなあ、と実感。色々な先生方と実技の時間「あーでもない、こーでもない」やっていますと本当に勉強になります。