はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

 歯医者が怖い。 歯の痛みは心の痛み? 大塚ひかり 著

正月に田舎の友人(歯医者)と飲んだ際、話に出てきて面白そうなので借りてきてしまった一冊。
実はまだ全部読んでいなくて、最終章の「昔もあった?!口腔心身症」とあとがきは読んでいない。
しかし、大変面白くみなさんにも紹介したいので書いてしまおう。

「口腔心身症」という言葉知ってますか?
私はこの本を読むまで知りませんでした。
口腔心身症とは、ストレスで胃痛が起こる人がいるように、精神的・心理的ストレスが原因で歯痛を生じる人がいて、歯科医院で治療を受けるが、削っても(当然)まったく良くならず、治療方針に不信感を募らせ、ドクターショッピングを繰り返すうちさらに症状は増悪するスパイラルにはまり込んでしまう病だそう。
怖いですね・・・
友人には「このような症状の患者を診たことがあるか?」と聞くのを忘れてしまいましたが、著者が通院した東京医科歯科大学歯学部附属病院の頭頚部心療科には科が創設された1999年時点で全国から5千人を超える患者が来ていたというから、現在の患者数は相当なものなのだろうと想像されます。
私自身は、直接知っている患者さんはいないのですが、もしやそうなのでは?と思う方の日記を目にしたことがあります。
ネット上にご自身の病状記を公開されているその方は、ご自身の症状を顎関節症(このキーワードで検索していてヒットした)と認識されていたようでした。しかし、この本を読んで真っ先に思い浮かんだのが、この方の病状記だったのです。果たして顎関節症なのか、口腔心身症なのか私は医者ではないので判断しかねますが、著者の病歴とネットの日記は酷似してました。その方が回復されていることを願うばかりですが・・・
著者は様々な歯科医、果ては精神科医に診てもらうのですが、精神科医のO先生や口腔外科のN先生(いつぞやの伝統鍼灸学会に講演者として呼ばれてました)は「あー、あの先生か・・・」と私でも知っているような有名な先生で、そのやり取りが臨場感たっぷりに描かれていきます。
どう感じたかは思い切り歯に衣着せぬ表現で正直に、また自身の尋常でない精神状態は客観的に、著者の視点はどちらかに偏ることなく、中庸をとるのでもなく触れ幅MAXで進行。
あっという間に読み進めてしまいました(帰省の帰りの新幹線の中で9割読了)。
私は、面白い本は一気に読まず、途中でペースを落としてじっくり読みたくなる癖があるので、これは面白度◎です。
今考えているのは、鍼灸でどう治療できるか、このような症状をどう見立てるかです。
残念ながら著者は鍼灸治療をしてみようとは思わなかったようですが、鍼灸でもかなりいけるのではないかと私は思います。
みなさんはどうでしょうか?同業の方、感想をお聞かせください。

歯医者が怖い。 歯の痛みは心の痛み? (平凡社新書)

歯医者が怖い。 歯の痛みは心の痛み? (平凡社新書)