はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.34 『杉山眞伝流』中之巻 勉強会

大浦慈観先生の『杉山眞伝流』の勉強会に参加しました。
大浦先生特注の鍼管を、そのあたりの柔らかさと重量感(打鍼と同じ重さにしてあるのだそう)に惹かれ、打鍼的な使い方も出来るというので、腹部の調整に使いたいと思い購入したものの、なかなか使いこなせないでいました。そこへ勉強会の知らせが!
良い道具も持っているだけで使えなければは、宝の持ち腐れ。「鍼管を用い、どう効果を出していくのか」を実際に見たいと思い参加しました。
今回は「中之巻」から当時の治験例の解説をしてくださるというのも魅力に感じました。
6月まで計5回シリーズの講義ですが、初回のテーマは「中之巻」の構成と序文。
簡単に内容をご紹介。
1.「中之巻」の全体の構成
「中之巻」序は島浦和田一の述。第一は杉山和一の撰。第二は三島安一の撰。第三、第四、中巻とだけある不明瞭な部分は島浦和田一の撰。

2.「中之巻序」と「鍼刺心要」
「中之巻序」を参加者のお一人が音読して、大浦先生が解説しつつ、会場からは質問が飛び出します。序文自体は短いのですが、話はどんどん膨らんで、戦国時代の気つけの鍼の話から竇漢卿や承淡安の名前も登場。印象に残ったのは「箴(いましめる)」という語のもとになったのが鍼だという冒頭のくだり。人の失敗を言葉でいましめることを、鍼が疾(やまい)を攻め、患いを防ぐことに喩えたというものです。私が無学なので知らなかっただけかもしれませんが、こういう話は学生の時に聞きたかったなあと思いました。

3.「二十五術」より、啄術と両行術
簡単に言ってしまうと、啄術とは今でいう雀啄術、両行術とは旋捻+雀啄術のこと。
どんな病症、局所の状態の時に用いるかの解説と、実技を希望者に対しやってみせてくださいました。
術の披露も、もちろん勉強になったのですが、大浦先生は術を施しながら、臨床上の注意点や実際の治療でどのように術を用いているかを、ぽろぽろ話され、それが心に残りました。

さて、勉強会に出たからといって鍼が(治療が)上手くなる訳ではありません。「勉強会出て満足。本買って満足。」にならないよう、問いを立てて、自分なりにその技を習得する方法を工夫し、練習し、工夫し、練習し…ですね。

※今回初めて、8割方書き終えたところで間違って消すというミスをしてしまいました。結果半分くらいに短縮。これからはバックアップをマメにしようと誓ったのでありました(-_-;)。