今月の本棚 『身体のいいなり』 内澤旬子著
昨年の夏、友人が初期の乳癌であることが分かった*1。
さあこれから手術するぞという時、なんとも言えない緊張感が友人の電話の声やメールの文面から感じられて、その張り詰めたものをちょっと「外す」とか「ずらす」といったことが起きたらいいなあと思い「この本、読んでみてよ−」と勧めたのが内澤旬子さん著の『身体のいいなり』だった。
乳癌に罹患したことがきっかけで、むしろどんどん元気になっていくというユニークな体験を軸にした身辺記なのだが、徹頭徹尾「病気」に対しクールな距離感で最低限の関心しか示さない。決して「病人」にはならず、常に関心は「興味を持ってやりたいことが出来る」ことと「それ以外のことに煩わされるのはとことん避ける」ことに焦点が合っている。
なんて健全なんだ!
なんて爽快なんだ!!
と、読んでいて何度も唸らされてしまう。
- 作者: 内澤旬子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: 単行本
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今年、その友人がくれた年賀状にはわたしへの感謝の気持ちとこの本の存在の大きさが綴られていて、わたしは紹介しただけなんだけれど嬉しかったな。
今年、友人がくれた年賀状
*1:その後、もう一方の乳房にも癌が見つかり手術することになった。いずれの場合も術後一月も経たない時期に5kmのロードレースに参加する予定を、術前に組み込んで身体づくりをしたヒジョーシキな人。予後は良好で元気に仕事しているよう。