はりきゅう日和 

東京 代々木の鍼灸院 SO:UN+DO ひらち鍼灸院の日々雑録

vol.33 漢方鍼医会本部会 臨床家養成講座 2月例会

午前
第一席 『選穴論の実際』 堤 卓郎先生
「なぜ、そのツボを使ったのか?」その理由を他者に分かるように説明できなくてはいけない。
「さあ、あなたはなぜそのツボに鍼をしたの?」ということである。
事前に詳細かつ膨大なレジュメがメーリングリストで配信されていたので、基本を踏まえつつ、質問を受けるという形で進行。
印象的だったのは、堤先生が五臓の働きや気血津液の状態を、具体的で柔らかな言葉で表現されたことです。
「証や病理産物を確定することに囚われてはいけないよ。」という戒めのように感じました。
また注意点として、穴性を五味論から考えるのだが、固定的に考えないこと。その働きは両義的であることが多いとのこと。この辺りは実際の臨床を積み重ねることでしか身につかない感覚なのかなあと思います。

第二席 『腹部疾患1』 新井 康弘先生
重篤疾患の鑑別のための基礎知識と実際の腹部疾患の治療法について講義くださいました。
患者さんに「お腹が痛いんです…」と言われたとき、どうするか?
鍼灸では手に負えない重篤疾患の可能性はあるか?まず疑い、適応か不適応の判断をするのが第1段階。しかし、この辺の知識というのは普段使わないだけに、錆付きやすいです。今回は良い復習になりました。実際の患者さんの症例や先生方ご自身の経験などの披露もありました。さて重篤疾患の可能性を除外できたとして次はどうアプローチするか、ここから先は五臓と気血津液の病理をどう考えるかという話です(要は基本です)。

午後
取穴実技 小腸経 指導:二木清文先生
◆ポイント◆
尺側の赤白肉の境というのは結構手背寄りに存在すること。尺側は手関節から肘関節までを12.5寸としてとると、支正はかなり手関節寄りになること。
臨床実技 
・衛気、営気の手法を中脘穴に施す練習
・小里方式でモデル患者をたてた治療 指導:二木清文先生
1.モデル患者:平地 治療:本治 高柳先生&田村先生、背部 沢内先生
主訴:首肩背部の倦怠感、顔、下腿の浮腫み
その他の症状:便秘、口の中が乾く、手足の冷え
2.モデル患者:沢内先生 治療:本治 平地、背部 細川先生
主訴:腰痛 側腹部のこわばり

もちろん、お腹の状態や脈は違ったのですが、二人とも足が浮腫んでパンパン。顔はほんのり上気気味。便秘しているなど、腹部の熱の停滞が共通項で、腎を補うことで水をしっかり腎まで返しましょうという同じ基本ラインでいくことになりました。

治療穴は、本治は右復溜、右陽池、左養老へ営気の補法。標治は肩背腰部へ衛気の補法。

私に関していうと、治療後は背中のもやもやと胸の痞えがとれ、すぐトイレに行きたくなりました。とてもよく水が捌けた印象です。

本治法の後は、指導してくださった二木先生曰く「腹だけやったら、モデルになれるでぇ」とのこと(んなわけないですが)。

自分の身体で変化を体験すること、これ大事ですね。